
琉球王国末期(幕末期)来琉した欧米艦船の交渉通事として非凡な才能を発揮した牧志朝忠は、その上司恩河朝恒、小禄良忠とともにとらわれの身となり、その才を高く評価した薩摩の介入で釈放され、鹿児島に渡る途中、海中に身を投じた。この疑獄事件は不明な点が多々あり、琉球史の大きな謎の一つとされてきた。
本書は「琉球三罷録」はもとより、伊江文書を読み解き、その事実関係をつきつめていく。薩摩のお家騒動、琉球王府内の勢力争い、黒舩の脅威といった中で、いわば開明派と目される牧志恩河らへの厳しい取り調べの背景にあるものを浮かび上がらせていく。
関連資料も多数収録した決定版です。