
本書は沖縄の精神世界の基礎である「うちなーぐち」(沖縄語)を楽しく学ぶ為の絶好の書である。
本書における語句の解説は簡明であり、著者の三〇年余にわたる「うちなーぐち」の研究成果に基づくものである。それは、およそ二五年に及ぶ沖縄語の献身的な普及活動に裏付けされているものであり、「うちなーぐち」という精神遺産に対するほとばしる情熱がいたるところで感じられよう。
本書の特典の一つは信頼できる仮名表記なので、初心者でも安心して学ぶことができることにある。二〇〇〇年に著者が沖縄語普及協議会設立を呼びかけ、同会の事務局長をしていた当時から、沖縄語の仮名表記法を提唱してきたが、先に刊行された『うちなーぐち活用辞典』(二〇二一年、国立国語研究所発行)の巻末では表記の心得としてまとめられており、本書はその成果を誰にでもわかる様に簡明にしたものである。
本書の巻末では、第一課から第十五課までの会話を仮名と漢字で表記する試みも提示されている。
「うちなーぐち」の学習帳として本書を大いに愛用し、沖縄の心に少しでも触れてもらいたい。
宮良 信詳 著 110頁 B5判
ISBN978-4-89805-258-7